日本の広告費 その2

続いて、日本の総広告費の推移と前年比についてです。
■ポスティング市場 1,481億円(前年比100.6%)
市場全体は堅調に推移し、前年を上回った。大都市圏を中心に、新聞折込の代替として官公庁・自治体関連の全戸配布などの需要は前年に続き堅調で、手軽なスポーツジムやインドアゴルフなどが増加した。買い取り系も増加傾向にある。
■折込 2,442億円(前年比94.8%)
新聞購読率の低下や経費高騰に伴う販促費の抑制により出稿量が減少し、前年を下回った。物価高の影響で節約志向が高まり、流通業を中心に生活支援策を訴求する媒体として活用された。また、2024年10月は第50回衆議院議員総選挙に伴い、出稿が増加した。業種別では、スーパー、家電量販店、ファミリーレストランなどが増加。サービス業では、旅行・宿泊業や買い取り業者が好調に推移した。一方、百貨店や教育・教養は減少した。
■DM(ダイレクト・メール) 2,863億円(前年比92.3%)
印刷資材などの制作費高騰による広告主のマーケティング予算の見直しや、2024年10月の郵便料金改定などの影響もあり、前年を下回った。大量発送型のDMから、購買決定に対する効果の高いDM需要への変化により、発送数などが絞られ、減少傾向が継続している。データマーケティングを活用したパーソナライズDMや、CRM(顧客関係管理)などのデジタル施策と連動したDMへの需要は高い。無宛名便DMは、不動産業などでエリアマーケティング効果が評価され、従来の折込から移行する動きもあり、増加している。
■フリーペーパー※ 1,306億円(前年比96.5%)
グルメ・飲食、求人情報、住宅・不動産、ショッピングなどの業種が回復したものの、依然として物流費や原材料などの高騰が影響し、発行部数や発行頻度、広告主数などが縮小した。SDGsなど社会的意義を意識した広告出稿を行う企業にとって、地域密着型フリーペーパーの需要は高く、地域産業活性化のためのメディアとして活用する傾向がみられた。デジタル印刷や他メディアとの連携などの施策も定着し始めた。